何が発表されたか

OpenAIはGPT-5.6シリーズとして、フラッグシップの「Sol」、日常業務向けにバランスを取った「Terra」、低コストで高速な「Luna」の3モデルを限定プレビューで提供開始しました。一般提供は数週間内を予定しています。

料金は1Mトークンあたり、Solが入力5ドル/出力30ドル、Terraが2.50ドル/15ドル、Lunaが1ドル/6ドル。OpenAIはTerraについて「GPT-5.5と競合する性能で2倍安い」と説明しています。

プロンプトキャッシュの仕様変更が地味に重い

今回の更新で実務上もっとも効くのは、プロンプトキャッシュの予測可能性が増した点です。明示的なキャッシュブレークポイントが指定でき、最低30分のキャッシュ保持が保証されます。

一方で課金体系が変わり、GPT-5.6以降ではキャッシュ書き込みが未キャッシュ入力レートの1.25倍で課金されます。キャッシュ読み出しの90%割引は据え置きです。長文プロンプトを繰り返し叩く設計では、書き込みコストの増分を読み出し回数で回収できるかが新しい設計上の判断軸になります。

米政府との事前調整という異例の動き

OpenAIは発表前に米政府へモデルの計画と能力をプレビューし、政府の要請を受けて「信頼できる一部パートナー」に絞った限定プレビューから開始したと明記しています。フロンティアモデルのリリース手順そのものに、政府関与のステップが組み込まれてきている点は注目に値します。

💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか

日本のSaaS/受託開発/業務システム提供各社にとっては、まずTerraへの差し替え検証が四半期内のアジェンダになります。GPT-5.5を本番で回している機能であれば、単純計算で推論コストが半減する可能性があり、原価率の改善余地は大きい。価格交渉や年次契約の更新前に、A/Bでの品質確認を急ぐ価値があります。

ECや社内ナレッジ検索のように「同じシステムプロンプト+RAG文脈」を毎リクエスト送る設計の事業会社は、キャッシュ仕様変更の影響を必ず試算すべきです。書き込み1.25倍の追加コストは、低頻度・少量呼び出しのプロダクトではむしろ割高化する可能性がある一方、ヘビーユース機能では30分保証によって従来より読み出し割引が安定して効きます。「機能ごとに使い分ける」設計判断が経営マターになります。

また、米政府との事前調整を経たリリース運用は、日本企業がフロンティアモデルへ初期アクセスする難度の上昇を示唆します。OpenAIとの直接の事業関係構築、もしくはAzure OpenAI経由での調達戦略を改めて整理すべきタイミングです。

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