何が起きたか
Anthropicは、デスクトップアプリで動くAIアシスタント「Claude Cowork」に、ユーザー自身がカスタムスキルを記録できる機能を追加しました。使い方はシンプルで、ある作業を実際に進めながら画面を録画し、何をしているかを音声で説明します。Claude Coworkはその録画を再利用可能な「スキル」に変換して保存します。
この「Record a skill(スキルを記録)」機能は、画面上の操作、クリック、タイピング、そして音声をまとめて捉え、繰り返し実行できるスキルに仕上げます。同じ作業が再び発生したとき、保存済みのスキルをそのまま実行でき、毎回すべての手順を手作業でなぞる必要がなくなります。機能はClaudeデスクトップアプリのワークスペース領域「Cowork」内の「+」メニューから利用でき、Pro・Max・Teamプランのユーザーが対象です。
なぜ重要か
これまでAIに定型業務を任せるには、プロンプトや設定を言葉で細かく記述する必要がありました。今回の機能は、その「言語化」の負担を「やってみせる」ことに置き換えます。ExcelやSaaS管理画面など、口では説明しにくい画面操作を、実演と音声ナレーションで教えられるようになった点が本質です。
これは業界で「操作の実演から自動化を生成する」流れが本格化していることを示します。OpenAIも同社のCodexで、ワークフローを録画して再利用可能なスキルとして再生する類似機能を提供しており、主要AI企業が同じ方向を向いていることが読み取れます。
💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか
注目すべきは、自動化を作る担当者が「エンジニアからその作業の当事者」に移る点です。従来のRPAや業務自動化は、手順を仕様化してIT部門や受託開発会社に依頼する必要がありました。実演+音声で作れるなら、経理・カスタマーサポート・営業事務といった現場の担当者自身が自分の反復作業をスキル化できます。日本企業の役員が今考えるべきは、この「現場主導の自動化」をどの業務から解禁するか、そしてガバナンスをどう敷くかです。個人が勝手に業務手順をスキル化すれば、属人化の解消どころか「ブラックボックス化」を招きかねません。誰がどのスキルを作り、どの画面・データにアクセスさせるかの管理が要ります。受託開発・RPAベンダーにとっては、単純な操作自動化の受注が減る一方、「スキルの設計・統制・連携」を助ける役割に価値が移ります。まずはPro/Maxを持つ数名で反復作業の棚卸しを行い、効果の大きい業務から試すのが現実的な第一歩です。