課題は「実験」ではなく「本番稼働」

AIの実験に行き詰まっている企業はほとんどない。問題は、リアルな環境で動作させることだ——Capital Oneはこの点を起点に据える。オフライン評価で優秀なモデルでも、本番では実際のレイテンシ要件や複雑なライブデータの前に失敗することがある。実験と実用の間には、依然として大きな溝が存在する。

研究と実装をつなぐ組織設計

Capital OneのAI Foundations organizationは、基礎研究から応用問題解決まで意図的に一体的な体制を構築している。これは、開発の早い段階で摩擦点を特定し、事前に対処するための仕組みだ。

このアプローチの核心にあるのが「機能する概念実証(PoC)」への要求だ。スライドに「こんなことができる」と書くだけのPoCは認めず、実際に動作し、測定可能な結果を示せるものであることを求める。また、パイロットの結果が否定的であっても、それは失敗ではなく判断材料と捉える。「パイロットが常に成功するなら、意思決定のための機能を果たしていない」という考え方が組織に根付いている。

本番稼働は多職種の共同作業

Capital Oneは「本番稼働はチームスポーツだ」と表現する。ソフトウェアエンジニアリング、データサイエンス、プロダクトデザイン、テクニカルプログラムマネジメント、オペレーションが連携してはじめて、AIは安定して動き続けることができる。

同社はこの方針を、不正検知・デジタル体験・顧客向け技術など複数の領域で適用してきた。その代表例が「Chat Concierge」だ。マルチエージェントアーキテクチャを採用し、顧客コンテキストの調査やドキュメント準備といったタスクを複数のエージェントが協調処理する。評価指標として精度とレイテンシを重視している。

失敗を隠す文化がAIを壊す

持続的なAI革新には、リスクを取れる・軌道修正できる・失敗から学べる文化が不可欠だとCapital Oneは強調する。「うまくいっていない」と認めることが問題視される環境では、チームは課題を解決するのではなく隠すことを選ぶようになる。新しいブレークスルーを追い続けることよりも、規律あるR&Dプロセスと横断的な協力体制こそが、実用的なAIを構築する基盤だという。

出典:VentureBeat

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