何が起きたか
米Indagariが約2,800万人の匿名化されたカード決済データを分析したところ、Anthropicの「Claude」に課金する消費者が継続的に増えており、2026年1月から有料消費者数と売上はいずれも約75%増加しました。Anthropicが米トランプ政権による大規模監視や自律兵器への自社モデル利用を拒否した直後の3月に急増があり、その後も伸びが続いています。
オンライン学習のDataCamp(利用者約2,000万人)では、サイト内検索語の1位が「AI」を抜いて「Claude」になりました。自発的に学ぶ個人層では、Claude関連コースの需要がChatGPT関連コースの3倍に達し、直近30日で18倍に伸びたといいます。一方、企業研修向けではChatGPTのコースが依然優勢です。
なぜ重要か
Claudeはこれまで「開発者向け」「Claude Code経由のエンタープライズ・スタートアップ用途」というイメージが強い製品でした。今回のデータは、その枠を越えて一般有料消費者にも浸透し始めていることを示唆します。Sensor TowerやIndagariの数値ベースではChatGPTが圧倒的1位であることは変わりませんが、ChatGPTの成長が「すでに巨大ゆえに鈍化」しているのに対し、Claudeは伸び率で差を詰めている構図です。
政治的スタンスが消費行動に効き始めた
注目すべきは、3月の伸びが政権利用拒否の直後に起きた点です。AIの選好が性能やUIだけでなく、開発元の倫理姿勢で動く兆しが見えます。一方で、サイバーセキュリティ特化モデル「Mythos 5」「Fable 5」は今月、米政府が非米国人による利用を禁じたため、Anthropicは一時市場から取り下げました。OpenAI、Anthropic両社とも上場が近づくなか、消費者からの支持基盤の厚みが評価指標として重みを増していきます。
出典: TechCrunch
💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか
日本企業の経営層が読み取るべきは、「ChatGPT一択」で社内標準を決めた判断の見直し時期に入った、という点です。
SaaS各社・受託開発各社にとって、Claudeの開発者・有料消費者基盤の拡大は、自社プロダクトに組み込むLLMの選択肢として無視できない水準になっています。特に金融・医療・公共系の受託で「OpenAI一本足は調達側がリスク視する」案件が増えており、Claudeを併用可能なアーキテクチャに切り替える設計上の合理性が高まっています。
EC・コンテンツ事業では、社内のライターや企画担当が個人課金でClaudeを使い始めている可能性が高い(DataCampでの個人需要3対1がその傍証)。「会社が契約しているのはChatGPT、現場で実際に使われているのはClaude」というシャドーITが既に発生していると見るべきです。情シスとR&Dは、年内に両モデルの併用契約と利用ガイドラインを整備することを推奨します。
また、政権利用拒否を機にClaudeが伸びた事実は、日本の事業会社にとっても「どのAIを採用するかは企業のスタンス表明になる」ことを意味します。BtoC企業はブランドリスクの観点で、採用LLMの開発元ポリシーを評価項目に加える段階に来ています。