Snowflakeが自社業務で実測した結果
Snowflakeは、DuckDBとSnowflakeの両方で動作するコードを書かせる103タスクを各3回実行し、GLM-5.2とClaude Opus 4.7を比較しました。3回試行での正答率はGLM-5.2が66%、Opus 4.7が67%とほぼ互角。一方で初回正答率はOpusが53.7%、GLMが47.6%で、GLMの出力が回によってばらつくことも示されています。
「安く」「冗長」なGLMの挙動
GLMは1タスクあたり平均99回実行・累計8.6億トークンを消費し、Opus(80回・4.39億)のほぼ倍を使いました。あるタスクではGLMが24分間に411回のツール呼び出しで行数・分布・NULL・型を執拗にチェックしながら3回とも失敗した一方、Opusは同タスクを49回・9分で解決。Snowflakeのラマスワミ氏は「GLMの方がクリーンなコードを書く、という主張は今回成立しなかった」と述べています。冗長な検証がそのまま品質には結びつかなかった形です。
価格差は本物か
公式価格はGLM-5.2が入力1.40ドル/出力4.40ドル(100万トークン)、Opus 4.7が5.00ドル/25.00ドル、GPT-5.5が5.00ドル/30.00ドル。出力単価でGLMはOpusの約18%、GPT-5.5の約15%にとどまります。ただしGLMはトークン消費が約2倍に膨らむため、実コスト差は表示単価ほど開かないという但し書きも残ります。それでも、Anthropicとうたい文句にしてきた「コーディング」分野で、中国製モデルが性能を維持したまま価格を切り崩し始めた事実は重みがあります。
💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか
日本の事業会社が真っ先に見直すべき場所
まず受託開発・SIerとSaaSベンダーは、「Claude/GPTを前提にした原価構造」を棚卸しすべきタイミングです。Opus 4.7を本番ループに組み込んでいる開発支援機能やコードレビュー機能は、月額のAI原価が粗利を直接圧迫しています。GLM-5.2を「初回ドラフト生成」「テストコード量産」「リファクタ案の網羅探索」のような“多く回しても惜しくない”工程に割り当て、最終解の選定と顧客出力だけOpus/GPT-5系に通す二段構えにすれば、品質を落とさず原価を一桁削れる可能性があります。
一方で、中国製モデルをそのまま本番に乗せられない事業も多い。金融・公共・大企業向けSaaSの責任者は、データ持ち出し先・利用規約・推論ホスティング地域を法務と詰める作業を今四半期中に始めるべきです。Snowflakeのように「自社環境内で評価し顧客に提供するか判断する」プロセスを、社内のAI委員会の標準テンプレに組み込むことが、来年の価格交渉でAnthropic/OpenAIに対する実弾になります。