何が発表されたか
xAIは、NVIDIA GB300を数万基使って訓練したGrok 4.5をリリースしました。Terminal Bench 2.1で83.3%と、GPT 5.5(83.4%)やFable 5(84.3%)に肉薄。一方でDeepSWE 1.1は53%にとどまり、GPT-5.5(67%)やFable 5(70%)には水をあけられています。SWE Bench Proでは64.7%と、Fable 5(80.4%)には及ばないものの、Opus 4.8の一部設定は上回る結果です。
本当のニュースは価格
スコアそのものより注目すべきは価格構造です。Grok 4.5は入力2ドル/出力6ドル(100万トークン)。同じタスクを回した場合、Fable 5とは出力コストで約8倍、Opus 4.8とは約4倍の差が付きます。しかもxAIは「SWE Bench ProでOpus 4.8の4.2分の1のトークン数で回答する」と主張しており、単価差だけでなく総消費量でもコストが縮む設計です。
中国勢と同じ戦い方
この戦術は目新しいものではありません。ZhipuやDeepSeekが仕掛けてきた「性能で肉薄し、価格で叩く」パターンを、米国の主要ラボが本格的に採用した点に意味があります。Grok 4.5はGrok Build、Cursor、xAIコンソール経由で提供され、Word・PowerPoint・Excel向けプラグインも稼働。EU向けは7月中旬公開を予定しています。訓練はSpaceXが6月中旬に600億ドル(株式交換)で買収したCursorと並行して行われました。
💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか
「フロンティアモデルの単価」が前提として崩れる
受託開発・SaaS・社内エージェント運用に取り組む日本の事業責任者にとって、Grok 4.5の意味は「性能ランキング3位のモデルが出た」ことではなく、出力トークン単価の相場が1桁下がる可能性が現実味を帯びたことにあります。特に、Cursorや社内コーディング支援にOpus 4.8/Fable 5を採用中の企業は、月次のAPI請求書がそのまま数分の一になる余地があります。
役員が今動くべき3点
第一に、AI予算の年間計画を「価格下落前提」で組み直す。Fable 5の出力50ドルを基準にした稟議は、半年以内に相場観として通らなくなります。第二に、マルチモデル切替の実装を最優先化する。単一ベンダーに固定した実装は、この価格競争の恩恵をそのまま逃します。第三に、EU向けサービス提供企業は7月中旬まで様子見を。GDPR絡みで遅延しているモデルへの依存は、可用性リスクとして経営レベルで管理すべきです。ZhipuやDeepSeekと同じ「値崩し」戦術が米国ラボにも波及した以上、次はOpenAIとAnthropicの反応が焦点になります。