裁判所が下した判断の要点
ミュンヘン地方裁判所は、GoogleのAIオーバービューをサードパーティコンテンツの単純な転載ではなく、Googleが自らの言葉で情報を再構成して生み出す「独立した新たな実質的な言説」と位置づけた。これにより、通常の検索エンジンに適用される責任免除規定は適用されず、Googleは掲載内容の正確性に直接責任を負うとされた。
何が問題になったか
ミュンヘンを拠点とする2つの出版社が、AIオーバービュー上で詐欺的行為や不正購読と誤って関連づけられていた。AIオーバービューは別々の企業に関する情報を誤って組み合わせ、出典となる原文には存在しない内容を生成していたという。裁判所はこの状況を受け、Googleに対して両社に関する虚偽情報の拡散を禁じる仮差止め命令を発令した。
AIオーバービューの誤情報問題は構造的
AIオーバービューのエラー率は約9%に上るとされている。月間利用者は20億人に達し、年間換算では20億件以上の誤った検索回答が提供されている計算になる。
さらに問題を深刻にしているのがユーザー行動だ。AIによる要約が表示された場合、出典リンクをクリックして内容を確認するユーザーは全体の約1%にとどまるという。Pew Researchが2025年7月22日に報告した調査によれば、事実として正しいAIオーバービューの回答のうち56%は、リンク先の出典からも内容を裏付けることができない。
Googleの主張と今後の論点
Googleは、AIが生成した情報を無批判に信頼すべきではないことはユーザーも認識しているべきだと主張している。しかし今回の判決はその主張を退け、プラットフォーム側の正確性責任を優先した。
AIによる検索要約は、情報収集の入口として広く使われるようになっている一方、誤情報が訂正される機会が構造的に少ないという課題を抱えている。今回の判決はその課題を法的文脈で問い直す先例となりうる。
出典:Engadget