AIの精鋭部隊が直面する「作業員」としての現実
Metaは2026年3月、全社的なAI強化のための組織再編の一環として、Applied AI(応用AI)チームを新設した。約6,500人のエンジニアとプロダクトマネージャーがこの部隊に配属されたが、現在3人の現職社員が証言するところによれば、割り当てられた業務への不満は組織全体に広がっているという。
「目的のない作業」が蝕む士気
社員たちが問題視しているのは業務の性質だ。Applied AIに配属されたエンジニアの多くは、AIモデルの信頼性を検証するためのパズルやコーディング問題を生成する作業を担っている。ある社員は「突然、人生の目的を失ったように感じる。誰とも会話もほとんどなく、毎週タスクをこなすだけ」と語る。別の社員は「ほとんどの人がこの仕事を魂が砕けるものだと感じている」とも述べた。
不満は言葉だけにとどまらない。ある社員は社内のライブ配信プレゼンテーション中に、上司への侮辱的な言葉を叫ぶ形で怒りを爆発させた。また、特定の社員のクリックやキーストロークを収集する監視施策に対しては、1,600人以上の社員が反対署名に加わった。
組織構造も異常だ。一部のチームではマネージャー1人に対して社員が50人という比率に達しており、適切な指導や支援が届きにくい状況になっている。さらに、Applied AIへの配属を拒否した社員には退職しか選択肢がない。
幹部が認めた「厳しい環境」
こうした状況はMetaの経営陣にも届いている。最高製品責任者のChris Coxは、Instagramチームとのミーティングで士気の過去最低水準への落ち込みと厳しい職場環境を認めた。Mark Zuckerbergも社内向けのメモで「これほど複雑な変革では過ちを犯してきたし、今後もそうなるだろう」と述べ、混乱に理解を示しながら、今年中は追加の大規模なレイオフは行わないと約束した。
Metaは今回の再編で全社員の約10%にあたる8,000人をすでに削減している。
改善策は「机の割り当て」と「ハッカソン」
会社側が示した改善策は、マネージャーと社員の比率の是正、チームイベント予算の増額、来月のハッカソン開催、そして年末までの固定デスク割り当てなどだ。ただし、業務内容そのものの抜本的な変更については言及されていない。
Metaは声明で、Applied AIの業務はモデルの進化に不可欠であり、今後数カ月でこれらの社員が貢献できる別のポジションも社内で創出していくと述べた。
出典:WIRED