何が起きているか

消費者向けエレクトロニクスの値上げが再び連鎖しています。Appleは6月にMacBookとiPadの価格改定を発表し、Xboxは8月から本体価格を引き上げ、Sonyも先んじてPlayStation 5 Proを値上げ済みです。原油高による輸送コスト上昇や昨年の関税も重なりますが、Global ElectronicsのShawn DuBravac氏によれば主因はメモリ半導体の逼迫で、チップメーカーがAIデータセンター向け生産を優先しているためです。

なぜ「待てない」のか

AIバブルの崩壊が見えない以上、メーカーはコストを消費者に転嫁し続けます。DuBravac氏は「以前は小さな価格変動を待てば良かったが、今は待つことが戦略にならない」と語ります。逆に既に値上げ済みの製品は次の改定までに時間の猶予があり、相対的に買い時になるという逆説的な状況です。

中古市場の異常な強含み

Back MarketのThibaud Hug de Larauze氏は、中古スマホの取引価格が2025年12月比で10〜20%上昇し、通常の減価トレンドが逆転していると指摘します。B-StockのSean Cleland氏は、サプライチェーンが正常化しても二次流通価格は2025年水準より一段高い水準に留まると予測。メーカー各社もスマホ・PC・タブレット・時計・ヘッドホンの下取りや買取プログラムを拡充し、自社のリセールチャネルを組み込み始めています。

💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか

日本のEC・小売、SaaS、受託開発の各業態で、影響の受け方は明確に分かれます。

BtoC EC・家電量販: 新品値上げは短期的にはASP押し上げ要因ですが、消費者の「インフレ恐怖による前倒し購入」(Hug de Larauze氏)は年末商戦で息切れします。メルカリ・ラクマ等と競合する中古在庫の確保・認定リファービッシュ事業への参入判断を今期中に決めるべきです。

SaaS・スタートアップ: 従業員のPC調達コストが構造的に上昇します。3年リプレースサイクルを4〜5年に延ばすか、認定中古機の全社導入で1台あたり2〜3万円の削減余地が見込めます。CFOはIT投資計画の前提を早急に見直す必要があります。

受託開発・SIer: 顧客企業のハードウェア投資が抑制されれば、DXプロジェクトのクラウド移行提案がより通りやすくなります。オンプレ更新を先送りしたい顧客への提案角度として活用できます。

製造業・ものづくり: メモリ調達の長期契約を今すぐ再交渉すべきタイミングです。

関連リンク