Waymoは「専用車両×中国生産」で量産フェーズへ
WaymoはGeely傘下のZeekrと組み、ロボタクシー専用に設計されたミニバン型EV「Ojai」を米国市場に投入します。スウェーデンで設計し中国で製造する車両で、米国の中国製コネクテッド車技術規制を回避するため車載通信モジュールは搭載していません。リサーチ会社MoffettNathansonが船荷証券を解析した結果、Waymoは今年3,156台、月間約300台ペースで米国に輸入する見込みです。
搭載されるのは第6世代の自動運転スイートで、カメラ13台、LiDAR4基、レーダー6基、外部音声受信機を備えます。NashvilleではWaitlistを撤廃し一般公開、さらにドイツ法人を設立して欧州展開の布石も打っています。
Teslaは「カメラのみ」戦略の正念場
対照的にTeslaは逆風です。テキサスで76歳女性が死亡した事故を巡り、AIソフトウェア担当VPのAshok Elluswamy氏はXで「ドライバーがアクセルを100%踏み込み手動オーバーライドした」と主張しましたが、NHTSAとNTSBの双方が調査に着手。NHTSAは別途、FSDが太陽光のグレア・霧・砂塵など視界不良環境を検知・対応できるかという根本的な能力も調べています。2023年のFSD関連死亡事故訴訟も和解済みで、係争コストは積み上がっています。
決定打となり得るのがLyftの新方針です。Lyftはネットワーク上で稼働する自動運転車に「複数種類のセンサー」を要件化し、カメラのみのTesla CybercabおよびFSD UnsupervisedのRobotaxiを事実上締め出しました。配車プラットフォーム側からセンサー構成を規定された格好で、Teslaのカメラ単独主義は商用展開の入り口で壁にぶつかっています。
周辺市場も再編が加速
米運輸省は完全自動運転車でブレーキペダルを省略できる規制改正を提案。ロボタクシーの点検・洗浄・充電を担うAseon Labsが1,000万ドルを調達し、Terawatt Infrastructureは充電拠点取得に最大3億ドルの与信枠を確保しました。CaoCaoとMay Mobilityは欧州での商用化で提携、Zooxも量産前の意匠刷新を発表しています。一方Lucid Motorsは18%(約1,500人)の人員削減と第2シフト停止に追い込まれ、4カ月前の12%削減に続く再リストラとなりました。
💼 事業会社視点:これは自社にどう効くか
日本の自動車・モビリティ関連企業の経営層が読むべきは「センサー構成が事業参入の前提条件になり始めた」という構造変化です。Lyftがカメラ単独車両を排除した瞬間、LiDARやレーダーを含む多重センサー構成が事実上の業界標準コストとして固定化されます。デンソー・パナソニックHD・ソニーセミコンダクタといったセンサー供給側には追い風ですが、車載ソフト・MaaS事業者にとってはWaymoのZeekr方式(設計と製造を分離し、通信モジュールを抜くことで地政学リスクを回避)が一つの解になり得ます。
国内SaaS・受託開発の経営者に直結するのは、Waymoがドイツ進出を表明した点です。欧州市場のロボタクシー商用化はCaoCao×May Mobilityの動きと併せ2026年以降に本格化が見込まれ、地図・配車UI・決済・遠隔監視といった周辺領域は受注機会が広がります。一方Teslaへの依存度が高いアフターパーツ・整備系の代理店は、係争リスクと規制不確実性を織り込んだ事業計画への見直しが急務です。役員はまず「自社サプライチェーンが中国製コネクテッド技術規制に抵触しないか」「センサー要件の標準化に追随できる調達体制か」の二点を今四半期中に棚卸しすべきです。